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オレンジボックス
7つの物語

エルメスのオレンジボックスには魔法があります。ボックスにかかったリボンをほどくたびに、エルメスの伝統とクラフトマンシップ、職人やクリエイターたちによる見たこともないオブジェがあなたを待ちうけます。それらを包み込む、デザイン性に優れた堅牢なボックスは、それだけでひとつのオブジェと言えるのです。

ランタンエルメスを締めくくるのは、オレンジボックスにまつわる7つの物語。

ボックスのはじまり。

最初のボックスには何が入っていたのでしょうか？　ご存じのとおり、エルメスの最初のお客さまは馬でした。2代目シャルル＝エミール・エルメス（1831〜1916）は父親から家業を引き継ぎ、フォーブル=サントノーレ24番地にエルメス第1号店を構えます。

職人たちがつくる馬具を梱包したのは木製のボックスです。エルメスのボックスはここからはじまりました。

クリーム色のボックス。

ある晴れた日のことです。エルメスのクラッチバッグには、それにぴったりなボックスが必要でした。1931年につくられた「ブークリエ」と呼ばれる、気品に満ちたクラッチバッグに似合うボックス。

クリーム色をベースに、控えめに縁取るゴールド。1925年頃にエルメスで使われていたとても小さいボックスには、当時のロゴと「Faub.」と略された、お店の番地であるフォーブルの名称が印刷されていました。ボックスの外側だけではなく、中面、そしてクラッチバッグ自体にもそのロゴは記されていたそうです。

オレンジ色との出逢い。

第二次世界大戦が終わりを迎えた頃のことです。クリーム色の厚紙はどこに問い合わせても欠品状況でした。残っていたのは、買い手がつかないオレンジのもの。その時代、西洋ではオレンジ色は脇役の色でした。

ですが、この色にはパッと人の目を惹く魔法の力がありました。エルメスのお客さまたちは一目でお互いの存在に気づくことができますし、この温かみのある色合いとシボ革のように凹凸のある表面の触り心地は、エルメスのレザーを思わせます。やむにやまれぬ選択から、転じて色のアイデンティティへ。その先駆的な感覚で選ばれたオレンジは、1960年以降、エルメスのシグネチャーカラーとなったのです。