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      LA LANTERNE D’HERMÈS À GINZA 2026

      ウィンドウの世界

      Looking Beyond その向こう側へ

      冒険は、「向こう側を見てみたい」と希求することからはじまります。アーティスト津田道子は2025年の夏に与那国島を訪れ、彼女のカメラは「思いがけない出会い」を眼差すための装置となりました。

      正面のふたつのウィンドウは、「冒険の呼び声」が訪れる瞬間を表しています。右のウィンドウには、与那国島の海と空を背景に野生の馬たちが歩く風景が映し出され、「柵」の隙間からその景色を覗き込むとき、人々は向こう側にある未知の世界へと想像力を広げるでしょう。左のウィンドウには旅先から持ち帰られたもの、まだ見ぬ世界を想像させるものが並び、奥のモニターには右のウィンドウを覗き込む通行人の姿が数十秒の時間差をもって映し出されます。左右を行き来することで、時間と空間を飛び越え、日常の風景を外側から眺める自身の眼差しに気づく体験となります。

      ウィンドウの中には、アン=マルゴー・ラムシュタインが描いたカレ《ホース・スプラスH》の額縁をはじめ、窓、映像、鏡など、さまざまな「見るための枠」が登場します。スカーフのカレは船や波に、ブレスレットやリングは水中の泡へと姿を変え、エルメスのオブジェたちがさまざまな風景を用意してくれます。キャリーバッグ《R.M.S》キャビントリヨン・レガットもまた、日常とまだ見ぬ世界のあいだに置かれたものとして、ここに飾られています。

      16の連なる小窓は、見る位置によって像が重なり、向こうとこちらが入れ替わる仕掛けとして、その境界線をさらに飛び越えるよう促します。冒険がはじまるのは遠くへ出かけるその瞬間ではなく、「向こう側を見てみたい」と思う、まさにその瞬間なのです。

      Michiko Tsuda

      津田道子

      アーティスト。インスタレーション、映像、パフォーマンスなど多様な形態で、鑑賞者の視線と動作によって不可視の存在を示唆する作品を制作。2025年、銀座メゾンエルメスの「ル・フォーラム」でのグループ展「スペクトラム スペクトラム」に参加。Tokyo Contemporary Art Award 2022-2024 受賞。

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