動画を見る

STORY

フォーブル、
色の指揮者

Cécile Pesce

セシル・ペス

レディスシルク・ビーチコレクション
クリエイティブディレクター

今月のテーマは「ヴォヤージュ」。エルメスの16メチエ(製品部門)のひとつレディスシルクと夏の風物詩ビーチコレクションのクリエイティブディレクターを務めるセシル・ペスによる、彩り鮮やかなバカンスのすすめ。今年の夏はどこでのんびり過ごしましょうか?

色は心の映し鏡。

――心躍る色使い。

私たちは物語を語ることが大好きです。それは、ひとつのファミリーの物語であり、職業の物語であり、職人の物語であり、人生の壮大な旅の物語。“カレ”と名づけられたスカーフは、エルメスという物語を語るためにつくられます。すべてはデザインから始まりますが、そのデザインは凝り固まることはなく、変化し、語りかけ、物語の一部を明らかにし、また別の物語を語りはじめます。私はシルクスカーフの色彩を担当していますが、色の組み合わせ次第で、それを可能にもしてくれるのです。色彩の正解は、もっとも美しい色ではなく、もっとも適切な色を選べるかどうか。配色とデザインが完璧にマッチすることで、人の心に訴えかけることができるのです。

――夏の相棒。

私が手掛けるビーチコレクションは、一年をとおして夏を感じられるものとなっていて、本当に楽しいひとときを味わえます。見てください。これなどはまさに、屋外での“アール・ドゥ・ヴィーヴル”(暮らしの芸術)のための、アウトドアコレクションの一部であり、エルメスにぴったりです。エルメスのビーチタオルは吸水性のあるタオル生地で、日常的に使うことができるものです。メゾンでも皆とても愛着を持っているんですよ。生地はコットンのループ糸(ブークレット)でできていて、このとても厚みのあるループ糸にプリントするためには、リヨン独自のノウハウが活かされています。だからこそ、滑らかでふんわりしていて、水分を吸収しやすいのはもちろん、日差しよけにもなり、どんな場所でも使えるパートナーとなり得るのです。そう、エルメスといえば織物と伝統の街、リヨンです。リヨン産のシルクとともに、着彩もリヨンへ委ねられ、そこで色彩の専門家たちにより色づけされます。

――色という感情。

色を扱う仕事は私にとって本当に魅力的です。色はインスピレーションを与えるイメージを伝え、私たちはその物語を語るカラーストーリーを決めます。簡単にいうと、エルメスでは、ひとつのデザインに10から15の色の組み合わせをつくります。そして、楽しみながら、デザインに応じて色を変えていくことで、それぞれのデザインに異なる色のバリエーションを持たせることができるのです。色には本当にたくさんの感情がありますから。「色は心の映し鏡」なんていわれていて、実際にメゾンにフィットする色の考えと同じビジョンなのです。色は言葉でもあり、時代が変われば表現の仕方も変わってきます。

――夏のバカンスには。

この夏、私は《ヨッティング》という名前のビーチタオルを持って出かけます。船が描かれたツートンカラーの素晴らしいビーチタオルです。これで素敵な夏のバカンスに出かけられますね!

――個人的な旅の記憶。

銀座メゾンエルメスを訪れ、つい10日前に戻ってきました。日本という国に私はすっかり魅了されました。東京とパリとの繋がりはやはり、どの分野においても精密な職人技と、熟練した技術の文化なのだと思いました。銀座で『プレシャス・シルク』というシルクの特別なコレクションイベントを開催した際に、ひとりのお客さまが私に会いに来てくださり、「一晩中眠れなかったの! とても楽しみで、誰よりも早く作品を見たかったのよ!」と言ってくださいました。なんて素晴らしいことなのでしょう。また近いうちにお会いしましょうね!

Cécile Pesce

セシル・ペス

エルメスの16メチエのひとつであるレディスシルクとビーチコレクションのクリエイティブディレクターを務める。シルク製品における色彩を担当しながら、夏と冬のビーチコレクションを制作。エルメス入社は約20年前。

TOPにもどる

端末を縦にしてご覧ください