紙と鉛筆で始まる
      放浪の旅

      Mrzyk & Moriceau

      マルジック&モリソー

      自己紹介をお願いします。

      マルジックとモリソーという2人組のアーティストです。僕たちは1999年に同じアートスクールを卒業して、ずっと一緒に創作しています。エルメスとのお付き合いは数年前から。ショートフィルムを作ったり、エルメスの世界(Le Monde d'Hermès)』でイラストを描いたり、招待状をデザインしたりしました。最近では2025年秋冬のプレス向けブックレットを手がけました。

      ©︎ Mrzyk & Moriceau

      ©︎ Mrzyk & Moriceau

      あなたがたにとって「ドローイング - 描く -」とは?

      「描くこと」について考えを巡らすとき、「放浪」という言葉がピッタリだなと思うんです。紙の上に鉛筆を走らせながら、あてどなく想像を巡らすということ。僕たちはたまに午後の遅い時間にいい音楽とワインを楽しみながらこの「放浪」セッションをやるんですよ。そうするといいアイディアが浮かんできたりします。学校を出たての頃、お金もスタジオもなくて、何か表現するためにはドローイングすることしかできなかったものです。あの頃は紙と鉛筆だけで、数日間プロジェクトのことを考え続けていましたっけ。

      今回あなたがたが手掛けた銀座メゾンエルメスのウィンドウについて教えてください。

      エルメスのウィンドウディスプレイを手掛けるのは初めてで、すごくワクワクしました。アイディアソースは子どもの時の記憶です。僕が10歳の頃、体の中の様子を描いたらどうなるだろう?と思って、色を塗った丸っこい形のものがいろんな方向に動いている絵を描いたことがありました。たぶん『バーバパパ』に感化されたんだと思います。この時の記憶が今回のインスタレーションにつながっています。体内の様子を映しとるスキャナーのようなスクリーンを2つ用意し、そこに色付きの、子どもが描いたような単純なアニメーション映像が映し出されています。

      もう一つのインスタレーションを黒と白だけの世界にしたのは、このディスプレイをご覧になる人たちに自由に想像して欲しかったから。結果として、ウィンドウの中に飾られたオブジェに命を吹き込むことができました。ま、本当の理由はペトラと僕とで色をつけるかどうか、意見が合わなかったからなんですけどね(笑)。

      今年のエルメスの年間テーマは「ドローイング - 描く -」です。エルメスのドローイングって、どんなものだと思いますか?

      エルメスのインスタグラムを見ると、「エルメスのドローイング」とは何かを説明するのは難しいと思うんですよね。いろんなアーティストによってさまざまに解釈されたエルメスの世界が、実にたくさんあるということがわかりますから。

      日本にまつわる思い出は何かありますか?

      僕らの世代はみんなそうですが、80年代の漫画や絵本、アニメを見て育ちましたから。『トム・ソーヤーの冒険』『ニルスのふしぎな旅』『魔女の宅急便』『バーバパパ』などのカルチャーが僕らの創作に何らかの影響を与えていると思います。今は妖怪に夢中で、日本のタヌキの置物を持って帰って庭に置こうと思っています。

      Petra Mrzyk &
      Jean-François Moriceau

      ペトラ・マルジック & ジャン=フランソワ・モリソー

      マルジックとモリソーによるアーティスト・ユニット。30年前にフランスのカンペール美術学校で出会って以来、共同で創作する。個展開催のほか、プレートのデザイン、ミュージックビデオ、雑誌、絵本、メトロチケットのデザインなど多方面で活躍。座右の銘は「一日一枚のドローイングは医者いらず」。

      ©︎ Mrzyk & Moriceau

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