エルメスでは1937年にスカーフのプリントを始めて以来、7万5千以上もの色が生み出されてきました。シーズンごとに、新しい色がデザインに導かれるように現れ、無限のバリエーションとなってカレを彩ります。

ランタンから生まれたカレ、
《ブケ・フィナル》
花にハサミが入れられ、いけられたブーケをロンドンのイラストレーター、ケイティー・スコットは描きました。そして、その一枚のドローイングが今年カレ(スカーフ)になりました。
2024年に始まったプロジェクト「ランタンエルメス」の一枚のドローイングが、この夏、新しいカレの物語を紡ぎます。フラワーアーティストの東信がさまざまな出生の花をいけることで表現したひとつの地球を、イラストレーターであるケイティー・スコットが好奇心とともに、その内面性、多様性を生き生きと描いたものが、シルクスカーフとなったのです。絡みあったチューリップ、ワスレナグサ、ユリが巧みなバランスで構図を支え、中央の繊細な花冠をもつケシの赤い花へと私たちをいざないます。


このカレには、グランドファイナル、最後の打ち上花火を意味する《ブケ・フィナル》という名前がつけられました。シルクスカーフのエキスパートである製版職人、デザイナー、カラリストといった職人たちが集い、リヨンの工房でたっぷり時間をかけて、何パターンもの配色を、なかには想像を裏切るような色使いでまとわせました。カレのほか、ロザンジュやツイリーにも展開されます。

Katie Scott
ケイティー・スコット
ロンドン拠点のイラストレーター。手描きの線描画やデジタル水彩画などの作品があり、植物の要素や解剖学からインスピレーションを得ている。植物学者とのコラボレーションで植物図鑑も制作。エルメスのカレやテキスタイルでも植物を表現したデザインで知られる。