エルメスの2024年のテーマは「フォーブルの魂」。パリ、フォーブル=サントノーレ24番地のエルメス第1号店。そのスピリットを受け継ぐ銀座メゾンエルメスが、街を照らしながらメディアとなって一年間驚きをお届けします。 1月の「ボタニカル」では銀座メゾンエルメスのウィンドウは植物に満たされ、フラワーショップが出現します。フォーブルに宿るさまざまなスピリットをもとに、月替わりのプログラムを銀座メゾンと特設サイトでお楽しみいただけます。
STORY
ジャン=ルイ・デュマの 銀座メゾンエルメスに込めた思い。
創業は1837年。馬具工房としてスタートしたエルメスが、160年余の伝統と歴史とともに日本に「家(メゾン)」を構えたのは2001年のことでした。多くの老舗が軒を連ねる銀座にこそおじゃましたい――そう考えたのは先代のジャン=ルイ・デュマ。その脳内には街を温かく照らすランタンとしての「銀座メゾンエルメス」の姿がありました。
街から見た姿がランタンだとしたら、その中身のアイデアは“さかさまの木”というユニークなもの。上階にはアートギャラリーや小さなシネマといったパリの街中におなじみの文化施設を設け、これを“根”として、文化や歴史、新しい創造性や時代の感性をキャッチしようと考えました。この養分は来訪者にはもちろん、アトリエやオフィスというメゾンで働く人々のいる“幹”を通り、エルメスのオブジェ(製品)という“実り”としてブティックに届けられる――そんな“さかさまの木”なのです。
この稀なるアイデアを光り輝く建築にデザインしたのは建築家のレンゾ・ピアノ氏。内装を手がけたのはジャン=ルイの妻、インテリアデザイナーのレナ・ デュマです。透明なガラスブロックを用いることで、日中は街の風景を映しこみながら寄り添い、夜には光が灯り内側から街を照らす、都市の“ランタン”が生まれました。
銀座メゾンエルメスの通りの反対側から銀座の空に目を向けてみてください。ガラスのファサードの上に立つ、「騎乗の花火師」が見えることでしょう。
© Stirling Elmendorf
この花火師は、1987年、エルメスの創業150周年のお祝いにつくられたもので、パリから旅して銀座にやってきました。パリの第1号店、フォーブル店の屋上の像と同じく、今は花火の代わりにスカーフの旗を2枚、はためかせています。
Jean-Louis Dumas ジャン=ルイ・デュマ